『鬼太郎 幸せ探しの旅に出る〜100年後の「遠野物語」〜』
今年は柳田國男の『遠野物語』の発刊百周年目にあたります。
だからでしょうか、NHKBSHiで『鬼太郎 幸せ探しの旅に出る〜100年後の「遠野物語」〜』の放送がありました。
昨年の三月でアニメ第五期『ゲゲゲの鬼太郎』が終了して以来、約一年ぶりにテレビで鬼太郎に出会えました。
第五期が打ち切りになって、とても脱力感があり、落ち込んでいましたが、久しぶりにテンションがあがってきたので、ここも久しぶりに更新しようかと思います。
今後『ゲゲゲの女房』のドラマも始まりますから、水木ファンにとってはテレビから目が放せない毎日が続きそうです。
さて、今回の放送内容で一番気になるところは、当然目玉親父の声を誰が演じるのかというところでしょう。
多分ここを見ている方ならご存知かと思いますが、今年の一月に目玉親父を長年演じていた田の中勇さんが亡くなられました。
実写、アニメを含めるほほぼ全ての『鬼太郎』関連作品*1で目玉親父を演じていた方で、鬼太郎ファンにとっては目玉親父そのものといえる方の訃報に落胆したものです。
そうすれば当然、この度の番組では声優交代になるわけですが、さて誰に代わるのかと思ってみていたら、水木ファンにとっては馴染みのある青野武さんでした。アニメの第三、五期でぬらりひょんを演じた方です。
目玉親父はあまり画面上に出てこないこともあって、善人になったぬらりひょん、或いは井戸仙人が話しているかのように感じてしまいます。『国盗り物語』が映像化されたら、ぬらりひょんはこんな感じになるなるのかなと考えながら見ていました。
長年田の中さんの目玉親父に慣れ親しんだだけあって、違和感がぬぐえないのは事実です。
しかし、キャスティングが変更することについては絶対文句は言いません。
鬼太郎は野沢雅子、戸田恵子、松岡洋子、高山みなみ、松本梨香、六浦誠、和田求由、ウエンツ瑛士と過去八人の方が演じています。
ねずみ男も同様に、大塚周夫、富山敬、千葉繁、高木渉、竹中直人、うえだ峻、野沢那智、大泉洋と八人の方が演じています。
それぞれの方が、それぞれの作品で好演されて、それぞれが別の魅力のある素晴らしい作品にしていました。
ですから、目玉親父が別の人であっても、良い作品ができるならかまわないと思っています。
もし、今後目玉親父を演じる方がいても、その方の演技が不出来な為に文句を言うことはあっても、田之中さん以外に目玉親父を演じたこと自体に文句は言わないつもりです。
今回の青野さんは、長年水木作品に多数出演していただけあって、いい味を出していたと思います。
本編のほうは、民俗に興味のある方は楽しめるのではないかと思います。
『遠野物語』を読んだ方なら馴染みがある場面が、映像として楽しめます。
さすがに、『遠野物語』の内容全てを網羅していませんので、見たかった場面が必ず出てくるとは限りません。
個人的には、もっと妖怪色の強い内容を期待していたのですが、祖霊や信仰を中心とした番組構成になっていたのにはややがっかりしました。
個人的に一番気に入ったのは「コンセイサマ」を取り上げたところでしょうか。
まさかあれをテレビで放送するとは思いませんでした。
「コンセイサマ」といえば、男性器まんまの御神体で有名な子宝を授けてくれる神様です。
セクシャルな方面は見ない振りをする風潮が強い昨今で、こういったものを堂々と放送するとは、本当に恐れ入りました。
ねずみ男の、「これぞ男の憧れと」いった感じの台詞といい、NHKも意外とやらかしてくれます。
水木先生ご自身も前編に渡って幾度となく登場しており、水木ファンにはとても楽しめる内容でした。
『鬼太郎が見た玉砕』同様、DVD化して欲しいです。