本日購入の書籍
- 作者: 夢枕獏
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/03/10
- メディア: 文庫
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この夢枕獏の小説を、岡野玲子が漫画化したことによって、様々なメディアに「陰陽師」が波及して行った様に思います。只、一過性のブームに終わってしまった感があるのは残念ですが。
当時、粗製濫造された二番、三番煎じの劣化品とは違い、非常に趣の有る作品に仕上がっていると思います。
こういった所謂「オカルト」的なものを素材に扱うと、怖い話、若しくはグロテスクな話になりがちですが、夢枕獏は面白可笑しい内容に仕上げています。妖怪などは、本来面白可笑しいエンタテイメントである筈なので、この路線は間違っていないと思います。
このシリーズは何処かで見たような物語が良く出てきますが、原典を『今昔物語』に採っているからでしょう。『今昔物語』を知っているとより楽しめるでしょう。
- 作者: 高田崇史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/03/15
- メディア: 文庫
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この『QED』シリーズですが、殺人事件を歴史上の謎に見立て、隠された史実を解き明かすと、同じ構造を持った殺人事件も解決するといったパターンで毎回話が成り立っています。
この作者独自の理論で、歴史の謎を解明し(ややトンデモ感がありますが)一本筋の通った結論を導き出している辺り、読んでいると非常に引き込まれ、意外な歴史に隠された新事実に驚かされてしまいます。
しかし、歴史考察の出来に比べると、本筋のミステリ部分が今ひとつに感じます。歴史の謎を解くと、それとリンクした殺人事件の構造も解るということになっていますが、歴史と事件の結び付け方が無理矢理過ぎて、折角の作品に瑕が入ってしまっているように感じます。
これならいっその事、殺人事件を起こさずに、歴史の謎を解くだけのストーリに路線を変更したほうが良いと思います。
因みに、このシリーズの『ベーカー街の問題』は、ホームズファンは読まないほうが良いでしょう。(嫌いな人には、逆にお勧めするべきかもしれません)
このシリーズにおいて、唯一私が歴史(架空の人物ですが)の解釈に感情的に納得いかない仕上がりになっています。