張子の妖怪

先日案内の葉書の来ていた、荒井良の個展「化けものつづら」に行ってきました。


会場に入ると、京極夏彦の文庫本の表紙でお馴染みの妖怪の張子が幾つも並んでおります。
「姑獲鳥」「魍魎」「狂骨」「絡新婦」「帷子辻」「川赤子」「瓶長」等々。
矢張り、立体物は実際に見ると違います。
「姑獲鳥」の背中に刺青の様な模様(?)が入ってる様子。
「魍魎」が齧っている屍の静脈が浮き出ている様。
「絡新婦」の足が蜘蛛になっている事。
全て文庫本の写真では確認できません。
こういった細部を観ることが出来るのも、展覧会ならではです。


また、未発表(?)の作品もいくつか展示されていました。
「五徳猫」「鍾馗」「化粧狐」「出世螺」「化け達磨」「風神・雷神」「天狗」他、何れも見たこと無い張子でした。
「五徳猫」は、『百器徒然袋 風』に同妖怪の話が収録されているので、『百器徒然袋 風』文庫化の表紙に使うべく作ったのでしょう。「化け達磨」は、『豆腐小僧双六道中』の滑稽達磨に当たるのでしょうか?
しかし、他の張子は何処かで使う機会が有るのか分かりません。もしかして、京極夏彦のこれからの作品で、これらの妖怪を取り上げたものが発表される予定なのでしょうか?
「出世螺」と「鍾馗」は読んでみたいものです。


後、本日観た作品の内幾つかは購入できる模様です。
京極作品の表紙になったものは、「個人蔵」となっていましたので、恐らく京極夏彦の持ち物なのでしょう。
しかし、「出世螺」「風神・雷神」は価格が表示されていました。それぞれ一五〇万円、一八〇万円となっていました。買おうと思えば買えない金額でもないのですが、置く場所と保存方法を考えると、とても維持できる環境ではありませんし、気軽に決断できる価格ではないので、購入はしませんでしたが。
個人蔵になっていた「鍾馗」様は購入できるものなら、欲しかったです。まああれが販売されていたとしても、一万、二万で買える筈は無いので、購入しなかったでしょうが。


残念だったのは、「於岩さま」や「鉄鼠」、『どすこい』のロボットが無かったことです。
特に、『どすこい』ロボット楽しみにしていたのですが、「化け物」では無いので外れてしまったのでしょう。


気になる方は、四月三十日まで公開していますので、一度行って見たら如何でしょうか。入場料も掛かりませんので、銀ブラついでに観てくるのも良いかと思います。
銀座まで行かれない人は、四月二六日に作品集が発売されるそうなので、そちらを見るのも良いかと思います。