書痴の書架より

と言う訳で、本日は乱歩の命日ですので、偉大なる江戸川乱歩の書籍を取り上げようかと思います。

江戸川乱歩全集 第16巻 透明怪人 (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第16巻 透明怪人 (光文社文庫)

確か去年の暮れ辺りに散々傑作だと語っていたかと思いますが、再度取り上げて見ました。
今回は、この書籍に収録されている『怪奇四十面相』についての思い出話です。


私は小学生の頃も書籍が好きで、良く図書室で本を借りていました。
当時は、ポプラ社の児童文学を良く読んでおり、コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』、モーリス・ルブランの『アルセーヌ・ルパン』と並んで江戸川乱歩の『少年探偵団』シリーズが大のお気に入りでした。


小学生でも分かるストーリと適度な謎、そして最大のポイントは小学生の目から見ても明らかにミスだと分かる突っ込みどころ満載のトリックでした。
特に、鳩に編隊を組ませてUFOを偽装する辺りは、正確な知識が無い小学生であっても、航空力学的(であってますよね?)にありえないだろうと思いました。


そして、『怪奇四十面相』です。
名探偵明智小五郎のライバルとして有名な怪人物で、変装の達人と設定されています。
最初は、二十ものバリエーションを持っているので、「二十面相」と名乗っていましたが、変装パターンが二十では無いので、途中で「四十面相」と改名しています。
で、この時子供心に思いました、二十から四十では高が倍になっただけではないかと。
しかも四十なんて区切りの悪い数字を何故選んだのか、非常に理解に苦しみました。
美学を持って犯罪を犯す、謂わば悪の紳士ですので、もっと大きく構えて、明智探偵の好敵手として大きな壁となるべく、もっとハッタリかましてもらいたいと思っていました。
四十なんて中途半端な数字でなく、「百面相」位景気の良い数字を名乗って欲しかったと今でも思っています。



まあ、こういったどうも締りの無い中途半端さも乱歩らしいと言えなくも無いので、今では「ネタ」として、これはこれで有りなのかもと思っています。