鬼太郎が見た玉砕〜水木しげるの戦争〜

遅れ馳せながら、八月十二日に放送された『鬼太郎が見た玉砕〜水木しげるの戦争〜』を見ました。
終戦記念日に見ると一際感情移入してしまいます。(見終わったときには終戦記念日が終わっていましたが)


流石に水木先生の実体験談を元にしただけ有って、臨場感がありました。
放送局がNHKというのも大きかったでしょう。民放だと視聴率重視の為に、過剰な演出を行ったり、視聴率を取れる俳優を起用してしまいがちですが、流石はNHK。視聴者に媚びない配役と演出を行っています。伊達に受信料を徴収しているわけではないようです。


全編を通じて、戦場の悲惨さを訴えかけており、特に病死等の戦争に参加しない人間が想像しがたい部分をリアルに描いている辺りは凄いと思いました。
学校の歴史の授業においては、戦争の概要は習う事はあっても、戦地の詳細な状況まで習う事はありませんので、戦争に参加した人の体験談(特にドラマ仕立ての再現映像を用いてのもの)は、戦争の悲惨さを知識だけではなく、(擬似的な体験として)実感できるので、非情に勉強になります。

時々挟まれる水木先生の漫画のカットも、ドラマの進行に違和感が無く挟まれており、逆に実写で再現しづらい部分を上手く演出できるように見えました。


正直、タイトルと作中に登場する「鬼太郎」は不必要だと思います。
知名度の高い「鬼太郎」を入れようとする意図は分からなくは無いのですが、作品の進行に必要の無い要素だと感じました。(一期のキャストを起用したり、水木絵そのままのアニメーション自体は非常に素晴らしく評価できる事ではありますが、本編とは全く無関係です。)


全編通じて非常に出来が良く、是非ともソフトウェア化してもらいたい一編です。
DVD化されたら、絶対に購入します。