『ゲゲゲの鬼太郎』5−53   

ゲゲゲの鬼太郎』五十三話「白山坊 ビバ!お化け屋敷」の感想です。
今週は、前回のホラーテイストたっぷりの話と打って変わって、非常にコミカルな回でした。


今週登場の妖怪は、履物の付喪神「化け草履」です。原作同様、履物を粗末に扱う人間に復習するために立ち上がります。
前回の「夜道怪」が柳田国男の『妖怪談義』に登場する民俗学の妖怪の系譜とするならば、今回登場の「化け草履」は鳥山石燕の『画図百鬼夜行』に登場する創作された妖怪に連なるものと分類できるでしょう。
前者は世間に起こった怪奇現象を説明付ける為のもので、主に子供に対する教訓として機能している場合が多いようです。その為、その姿やエピソードは非常に恐ろしく、救いが無いものも多かったりします。
一方、後者は笑われる存在とされていて、器物を大切に扱う等の教訓めいた説明もされていますが、それ以上にその当時の時事を風刺している側面が強く、恐怖ではなく笑いを掻き立てるような仕組みになっています。
その双方正反対の属性を持った妖怪像を、二週続けて出してきたのは非常に興味深いところです。スタッフが、妖怪を広く深く取り扱おうとしている証左なのかも知れません。


今回は久し振りに妖狐白山坊が再登場しました。妖怪なのに非常に俗世間にまみれて、とても人間くさい奴です。同じく俗なねずみ男との掛け合いは、とても息が合って、見ていて楽しいものでした。
但し、金銭に執着するねずみ男と違い、白山坊は自分の小屋の興行が当たるかに一番の重きを置いているところが同じ俗な感じがする二人の大きな違いですね。白山坊のお客様に喜んでもらう事が一番大事という、職人気質とも感じられるエンターテイナ魂はとても好感が持てます。
ねずみ男は、あくまで自分の利益があれば他は犠牲にしてしまうタイプのキャラクタですので、白山坊とねずみ男は似通った性質を持った様に見えて、実は正反対の考え方をしているんですね。


五期も始まって早一年が過ぎました。長期に渡る放送のためか、ちらほらと以前出てきたキャラクタの再登場がはじまっています。来週は吸血鬼ピーの再登場があるようですし。
新規キャラクタの登板は勿論楽しみなのですが、以前登場したキャラクタのその後の動向なども気になりますので、今回の白山坊の再登場みたいな話をまたやってくれる事を楽しみにしています。