『ゲゲゲの鬼太郎』5−55   

ゲゲゲの鬼太郎』第五十五話「百目の呪い」の感想です。
今回は、出だしから人間が誘拐されたり、子供の目玉を抜き取ろうとしたりと、結構怪奇色が強い回でした。
妖怪より、ゲストキャラクタの隆と携帯電話の付喪神(?)バケローを中心とした話作りになっていたので、百目の特徴はあまり紹介されていませんでした。しかし、五期では人間が話しに絡む事が比較的少なく、妖怪しか出ない回も多かったので、こういった人間の目線で進んでいく話も偶に混ぜるとシリーズ全体を通して見たときに、バラエティの富んだものに見えてくるので良いのではないかと思います。
この隆とバケローのコンビは結構好きです。こういった行動を起こすキャラクタと、アドバイスをするだけのキャラクタのコンビは他作品でよく見かけます。バケローのポジションを妖精等の架空の存在や小動物、意識を持った道具と置き換えてみると心当たりが幾つもあることでしょう。鬼太郎と目玉の親父もその一つですね。
こういったコンビは、キャラクタを立て易く、キャラクタの相関関係を説明しなくても、見てその関係がすぐに分かるので多用されるのではないかと思います。

最後に妖怪横丁の住人となったバケローですが、今後は古今同様に鬼太郎をサポートするアイテム(?)として再登場しそうな気配があります。
携帯電話等こういった原作に無い新規技術を出すのは賛否両論あるようですが、私は積極的に出していくべきだと思います。折角時代を現在にしているのですから、その時々の技術や社会背景を取り入れて話を作るべきです。
そうでなければリメイクする意味が薄くなり、極論を言うと過去のアニメを再放送すれば良いと言うことになってしまいます。
原作を下敷きに他の新要素を取り込んで全く新しい作品にする事は、原作の雰囲気を壊すとは言わないのではないかと思います。


さて、今回登場の妖怪はタイトルのとおり「百目」でした。
百目というとどうも『悪魔くん』の印象が強いです。特にアニメ版において十二使途の一員としてレギュラー出演した功績が大きいのでしょう。
しかし、実は百目は『ゲゲゲの鬼太郎』のアニメシリーズにおいて、最初期から登場している妖怪です。
その初登場はなんと一期の一話「おばけナイター」です。今回登場の大人ではなく子供の方の百目ですが、話の最初に出ています。アニメに限定すれば、『鬼太郎』で最初に登場した妖怪が百目なんですね。
でも、一期の時は登場こそ早かったものの、ストーリには殆ど影響を与えていませんでした。何しろ、野球の選手からはずされていますから、活躍のしようがありません。何故登場したのか、理解できない役回りでした。

百目の妖怪伝承の方はというと、よく分かりませんでした。
ユングの『変容の象徴』にある「百目鬼」の挿絵がモデルだそうです。水木先生の創作妖怪ではないことだけは確かなようです。
ユングの『変容の象徴』のイラストは、どうやら日本の江戸から明治にかけての間に書かれた妖怪画を参考にしているらしいのですが、詳細は不明のとのこと。
一体どんな妖怪で、どのような伝承があったのでしょうか?