『ゲゲゲの鬼太郎』5−60   

ゲゲゲの鬼太郎』第六十一話「妖怪城のたんたん坊」の感想です。

今回は漫画原作で、アニメ一期から度々リメイクがかかった「妖怪城」のエピソードだったので、五期での妖怪城住人の活躍を期待したのですが、実際はぬらりひょんパワーアップの話になっていました。
ここのところ、鬼太郎は新技指鉄砲を習得したり、更なる地獄の力を得たりとどんどんパワーアップして来ました。
一方、ライバルキャラのぬらりひょんはというと、かまいたちを味方に加えたりと組織の補強はそれなりにあるものの、あまり成長しているとは言い難いと感じました。
五期の『鬼太郎』は一話完結方式の手法を取ってはいますが、大枠としてのストーリがあり、どうも大まかな終着点が決まっているように見えます。恐らく、ぬらりひょん一派とバックベアード擁する西洋妖怪軍団との決着が付くまでは続くのでしょう。
これは製作者の三条さんが少年ジャンプ出身で、そこで得た経験を踏まえた上での作品構成をしているからでしょう。
それを踏まえたうえで作品全体の流れを通してみると、鬼太郎が強くなるのは少年漫画の王道だから当然だと納得できます。
しかし、もともと連戦連勝の鬼太郎が強くなってしまうと、敵役があっさりやられてしまう事態になってしまいます。
それではストーリが盛り上がりません。そこで、敵役の強化が必須事項になってきます。その為の今回の話だったのでしょう。
妖怪城がぬらりひょんの切り札になるというのは正直予想もしていなかったのでとても驚きましたが、これで今後の話がより盛り上がることになるのでしょう。


但し、シリーズ全体の流れを見ると、今回のぬらりひょんの居城獲得は分かるのですが、「妖怪城」としてのエピソードとしては今ひとつの出来でした。良かった点は、妖怪城のデザインが一期の時とほぼ同じだったことくらいでしょうか。
ぬらりひょん一味として行動しているかまいたちがあっさりやられたのは裏の事情があるから仕方ないとして、二口女の出番の少なさは涙が出る思いでした。
名前の無い雑魚同然の扱いは、いくら何でも酷過ぎると思います。
妖怪城城主のたんたん坊も、ぬらりひょんの手の上で踊らされている道化に過ぎず、あまり良い役回りとはいえませんでした。
ぬらりひょうん強化の話にするにしても、工作員としてかまいたちだけを送り込んで一見ぬらりひょんと関係ないように見せかけ、妖怪城三妖怪と鬼太郎との対決をメインに描いたほうが良かったのではないでしょうか?
そして、エピローグでたんたん坊を撃破して鬼太郎が帰った後、ぬらりひょんがまんまと妖怪城を接収するシーンを挿入すれば、今回の課題をクリアしつつ、面白い話になったような気がします。