『ゲゲゲの鬼太郎』5−68   

ゲゲゲの鬼太郎』第六十八話「地獄超決戦!西洋妖怪総登場」の感想です。
今回はタイトル通り、西洋妖怪が揃い踏みで、野球やサッカーにおけるオールスターチームのような豪華さでした。
既出のバックベアードフランケンシュタイン、魔女、グレムリン、ドラキュラ三世、魔女ザンビア、狼男ワイルドに加えて、先代の狼男とドラキュラも戦線に復帰、そして大物ゲストキャラクタとして初代ドラキュラ伯爵まで登場。その上、テレビアニメ版の『悪魔くん』の十二使徒として登場したメキシコ出身の悪魔ヨナルデパズトーリまでもが西洋妖怪軍に参謀ポジションとして合流しました。
これは一話で終わらせてしまうには勿体無い顔ぶれです。鬼界ヶ島の決戦の時のように、前・後編に分けてやるべきでしたね。ドラキュラ伯爵以外の西洋妖怪の面々、特に初登場だった先代の狼男とドラキュラ二世の活躍が殆ど描かれなかったのはとても残念でした。
個人的には、ドラキュラ・狼男・フランケンシュタインの西洋の三大スター妖怪と魔女は先代の方が好きです。デザインが水木先生のものに準拠してあるという点も大きなポイントなのでしょうが、それ以上に強者の雰囲気が出ている所が好ましく思える大きな理由です。
ドラキュラたちは、妖怪を好きでない人たちでさえ知っている有名な存在で、映画を中心に様々なフィクションで活躍しています。そこでは大抵主人公を苦しめる強敵として登場していますので、世間一般の人たちもドラキュラたちは恐ろしい妖怪であると認知していることでしょう。勿論、私もその西洋妖怪=強敵という感覚を持っています。
しかし、五期に登場した新世代のドラキュラ三世たちは、一言で表わすと「ヘタレ」で、先代達のような威厳も迫力も感じられませんでした。
私が新しい西洋妖怪より、先代の方が好きなのはこのあたりにあると考えています。
良く、オリジナルのイメージが損なわれるのでキャラクターデザインのリメイクを嫌う人が居ますが、私は必ずしもそれが悪いことでは無いと思います。
時代の変遷に伴い、価値観は変化するものですから、その時代に合わせた設定の変更は行っていくのは必要な事です。オリジナルのイメージを大事にするといった理由でデザインを変更しないがために、新しい時代のファンを獲得できずに不人気のまま消えてしまっては、リメイクする意味がなくなってしまいます。
ですから、私は新シリーズにおいて西洋妖怪のデザインが変更されるのは構わないと思っています。
では、何故新しい西洋妖怪が好きではないのかというと、弱く見えるからの一点に尽きると考えます。
彼らは、鬼界ヶ島の時はミイラ男バルモントに見せ場を全部持っていかれ、その後目立った活躍も無く、バックベアードの引き立て役くらいにしか見えません。
多分、先代たちの偉業を知っているからこそ、新世代の西洋妖怪の面々がますます不甲斐なく感じてしまうのでしょう。感覚的には、スポーツ選手の息子や、俳優の息子が、父親と同じ舞台に立ったものの、全く活躍できずに周囲の失笑を買うのと似ています。
新デザインや設定が駄目なのではなく、活躍していないのが駄目なんです。
実際に、新シリーズでリメイクがかかったかまいたちやゴーゴンはとても好きなキャラクタです。特に、かまいたちは百合作品が好きという新設定のお陰で、結構否定的な意見もあるようです。しかし、私はぬらりひょん一家の強力なアタッカーでありながら、少女趣味といったギャップがかえってキャラクタを引き立てているように感じられて、とても面白いと思います。
全部のキャラクタがリメイクと共に可笑しな変更点が加えられたら問題かもしれませんが、偶になら変態的な設定変更がなされても、作品が面白くなるのであれば構わないのではないでしょうか。
ですから、今後はドラキュラたちがピンで大活躍する話を作ってもらいたいです。でないと、折角知名度のあるスター選手の起用が勿体無いですから。
と応援するようなことを書きましたが、今回登場した初代ドラキュラ伯爵の活躍を上回る成果は難しい、というより不可能の様な気がします。
矢張り政治や芸能界、運動選手だけでなく、妖怪の世界においても二世は駄目なのでしょうか?


一方、西洋妖怪だけでなく、地獄の方も凄く豪華な顔ぶれとなっていました。
第五十九話の時に、泰山王都市王などの他の十王も出ないかと書きましたが、今回個々のキャラクタの紹介はなかったものの、全員が顔を出していました。十王ではなく、十三王でしたが。
閻魔さまと五官王宋帝王の他の名前は、秦広王初江王変成王泰山王平等王都市王五道転輪王・蓮華王・祇園王・法界王だと思います。どの人が誰だかまでは分かりません。きっとそのうち紹介されるでしょう。
閻魔王から五道転輪王までが十王信仰における十王で、残りの三人を加えて十三王とする場合もあります。『鬼太郎』においては、十三王を採用したようです。
一人ずつの登場ではなかったので、恐らく五官王宋帝王の程の活躍は見込めませんが、折角出てきてくれたのですから、今後活躍してもらいたいです。