『ゲゲゲの鬼太郎』5−76   

ゲゲゲの鬼太郎』第七十六話「最強タッグ!!南方妖怪&中国妖怪!!」の感想です。
今回は五期から新たに敵対勢力となった中国妖怪と、先月色々と楽しませてくれた南方妖怪達の再登場となりました。南方妖怪は、いつかは再登場するものと思っていましたが、思った以上に早く出番が回ってきたのは意外でした。てっきり来年くらいまでは出番が無いものかと思っていましたから。
今回の魅力は何といっても南方妖怪のキャラクタの面白さに尽きます。相も変らぬお馬鹿な彼らは、コメディーパートにおいては、これ以上無い程に優秀な役者でしょう。
南方妖怪達は、中国妖怪にそそのかされたねずみ男の手引きで、鬼太郎と再度対戦することになります。最初鬼太郎にはもう勝利したから再度戦う必要は無いと言う南方妖怪達。しかし、中国妖怪のアジアの支配権と引き換えにとの説得により鬼太郎と再戦することを承諾します。しかし、交換条件を呑んでおきながら、アジアが何処だか分からないなどと言ってくれます。アジアがどこかが分からないというのも大概ですが、それ以上に報酬の値打ちを理解せず仕事を引き受ける所が理解に苦しみます。それにしても、ランスブィル、椰子落とし、アササボンサン、チンポ*1の四人のみならず、南方妖怪唯一の常識人と思われたアカマタですらアジアが何処なのか知らないのは驚きました。アカマタすらボケ役になってしまうと、ただでさえ暴走しっぱなしの南方妖怪達の話の収拾が付かなくなってしまいます。お願いですから、アカマタだけは普通の知識と価値観を持った妖怪にして下さい。
そこで、今回も鬼太郎と親交を結んだアカマタが動きます。鬼太郎に危機を告げるべく、単身日本へと向かうアカマタですが、チーの手によって反物へと変えられてしまいます。このことによって、アカマタは今回はラストまで不在のまま話が進んでしまいますが、このアカマタが居なくなったことに誰も触れないのには驚きました。仲間が居なくなったのを心配するのはおろか、気付きもしない南方妖怪たちは一寸酷すぎではないかと思います。鬼太郎も、前回あれだけ世話になったのですから、南方妖怪軍の中にアカマタの顔が欠けているのに気付いても良さそうなものですが、結局チーから反物が返却されるまで気付かなかった様です。今回のアカマタは、なんとも不憫です。
南方妖怪をたらしこんだねずみ男と中国妖怪は、次いで鬼太郎を南方妖怪の本拠地グアムへとおびき寄せます。しかし、何故グアムなのかが疑問です。私が調べた限りにおいては、グアム出身の妖怪は南方妖怪五人衆に含まれておりません。ランスブィルはマレーシア、アカマタは沖縄の妖怪ですので、出身地不明の椰子落とし、アササボンサン、チンポのいずれかがグアムの妖怪なのでしょうか?
そして、鬼太郎と再戦する南方妖怪軍。相変わらずの協力攻撃の前に劣勢の鬼太郎ですが、戦闘中に目玉の親父の「グアムはアジアではなくアメリカ領じゃ」との説得により戦闘を放棄します。いや、アジアという土地を制圧しに来たというならその言葉で戦闘を放棄するのは分かるのですが、今回南方妖怪達に持ちかけられた取引は「鬼太郎を倒した変わりにアジアの支配権を渡す」といったものですから、どの土地で戦おうとも、鬼太郎さえ倒せばアジアの支配者になる事に変わりはありませんよね?南方妖怪はそこで戦闘放棄してはいけません。もう一寸ものを考えるようにしないといけません。矢張り、アカマタが居ないのが不味かったのか。
そして、戦闘を放棄した南方妖怪は、中国妖怪を強引に引きずり出してサーフィンを堪能しようとします。中国妖怪は当然それでは困るわけで、誘惑の術を使い南方妖怪を虜にして鬼太郎と再度対戦させます。アジア支配の魅力に負けた次は美女の色香に負けてしまうとは、なんとも本能のままに生きる南方妖怪らしいさまです。乗ってはいけないとされる誘惑に全く抵抗しない南方妖怪軍が素敵でなりません。これで後は酒の誘惑に負ければ、完璧でしょう。
その後、猫娘の活躍によって画皮がその醜い本性を現します。南方妖怪は現金なもので、画皮が美女で無いと分かるや否や戦闘を放棄します。挙句、画皮の命令を無視して鬼太郎と画皮のどちらが勝つかを賭け始める始末。
相変わらず自由気ままに、何も考えず行動する南方妖怪たちでした。人生(?)を謳歌しているように見える南方妖怪はある意味においては、最も幸せな存在ではないかと思えてきます。水木先生の南方は楽園だといった考え方を凝縮して出来たキャラクタが南方妖怪なのかも知れません。
水木先生は日本人のように、せせこましいところであくせくしていても幸せではない。穏やかな気候で気ままに暮らす事が一番だと仰られていたと思います。
でも、私は南方妖怪の様な脳天気な存在にはなりたくありません。


さて、今週登場の妖怪「画皮」は原作には登場しない妖怪ですが、アニメ三期の劇場版第三作「最強妖怪軍団!日本上陸」にチーの配下として登場しています。
この巨大な顔のお化けのデザインは水木先生のものなのでしょうか?手持ちの水木先生の画集には納めれれていませんでした。『世界の妖怪100話』に収められているらしいのですが、現物を確認していないので詳細は良く分かりません。
画皮は本来は妖怪の名称ではなく、『聊斎志異』に収録されている話の内のひとつの章題です。
どのような話しかというと、一人の男があるとき路頭に迷った美女を自宅の書斎に囲うところからはじまります。
その後、男は一人の道士に出会い、その女が妖怪であると告げられます。
美女に骨抜きにされた男は最初それを信じないものの、家に帰り書斎に行くと施錠されているのを見て不審に思います。そこで、こっそりと中を覗くと、異形の妖怪が書斎の中に居るのを見てしまいます。
その妖怪は、絵に美女の姿を描くと、それを被って変身します。その姿は、男が連れ込んだ女のものでした。
驚いた男は道士に妖怪退治を依頼します。しかし、妖怪を退治することに成功するものの男は妖怪に殺されてしまいます。この男の妻は嘆き悲しみ、妖怪を退治した道士に夫を生き返らせて欲しいと懇願します。
妻は道士に死者蘇生の術を知っている乞食を教えてもらい、その乞食に頼んで夫を蘇生してもらい、大団円となります。
今回の『鬼太郎』に登場した画皮も、この『聊斎志異』に収録されているエピソードを参考にしている模様です。
妖怪が美女に化けている点と、絵画を実体化する術が本の話の設定を活かしていますね。特に、纏っている紙を破かれると本性を現すところは、原作の『画皮』に忠実ですね。
三期の劇場版は、絵画の妖怪ということで炎が弱点でしたが、今期は使用する術が水に弱いという演出に変わっています。いずれにしても、紙の弱点である事に変わりありません。妖力は強そうですが、所詮は紙と言ったところでしょうか。


ところで、今週はアカマタの活躍が殆ど無く残念でした。
てっきり、アカマタが妖怪四十七士の沖縄代表になるかと期待していたのに、見事に予想が外れました。
劇場版『日本爆裂』の予告では、山爺と共に走っているアカマタが居ますので、絶対に沖縄代表はアカマタだと思います。次の登場の時に四十七士入りするのでしょうか?

*1:五期作中ではポと名称が変わりましたが、思い入れの強さからか、ついついチンポと書いてしまいます。どうも「ポ」ではしっくりこないので、今後あの妖怪登場してもこのブログ内では「チンポ」と表記することにします。