『ゲゲゲの鬼太郎』5−79   

ゲゲゲの鬼太郎』第七十九話「執念の妖蛇!!槌の子」の感想です。
今回は、呼子と夜道怪の二人が四十七士入りと相成りました。呼子は前回の予告の時点で四十七士入りする思っていましたが、まさか現時点で夜道怪まで出てくるとは思いませんでした。
夜道怪の四十七士入りはもう少し後になってから、夜道怪メインの話を一本使ってかと思っていましたから予想外でした。
今回一番頑張ったのは勿論呼子でしょう。一期から登場して、五期に至るまでずっと鬼太郎の仲間として出てはいましたが、殆ど活躍せず背景同然のキャラクタでした。五期においてもあまり見せ場は無く、七人ミサキの回位しか活躍していませんでした。その為、横丁の準レギュラーの中で四十七士入りが一番危ぶまれている様に感じましたが、この度目出度く四十七士入りが確定してほっと一息といったところです。
呼子本人も自分が弱い妖怪だと言っていますが、決して使えないキャラクタだとは思いません。確かに戦闘能力は低いのでしょうが、後方支援に回ったら、恐らく最も有能なキャラクタの一人ではないでしょうか?
呼び声を上手く使えば遠方との通信が取れますし、七人ミサキの時に見せたような電子機器を使っての情報発信はインフラを整えればこれ以上ないくらい便利な力になる可能性があります。バケローと協力すれば、全国の四十七士候補がすぐに見つけられそうな気がします。最大戦力の一人である蒼坊主を導ける唯一のキャラクタでもありますし、今回覚醒した近在の仲間を呼び寄せる能力も直接的な戦闘力にはならないものの、戦力増強に一役買った居ますから、戦闘に貢献する度合いは結構高いと思います。
また、今回見せた声帯模写の能力も使い方次第では大きな戦力になります。ぬらりひょんバックベアードの声真似をして、偽りの指令を出せば敵を撹乱することも出来ます。
戦いに重要な要素である、諜報工作を行うに当たって、これ程優秀な能力がある妖怪は横丁には他に居ないでしょう。


もう一人今回四十七士入りした夜道怪は三度目の登場になりますね。
毎度毎度美味しい所を持っていく御坊です。
今回は新技の影を使って敵を縛る能力を見せてくれました。夜道怪は闇に潜行するだけでなく、影を自由自在に操る能力持ちの様ですから、今後も影や闇に関する様々な能力を発揮してくれそうです。「影縫い」なんか使えるような気がします。
相変わらず格好いい夜道怪ですが、今回四十七士入りしたのは勿体無かったと思います。
個人的には好きなキャラクタですから、一話丸ごとメインを張った活躍をしてからの四十七士入りをして欲しかったです。


個人的に一番気に入ったのは釣瓶火でした。
五期の釣瓶火は街灯になっているくらいで、今までのシリーズに比べるとあまり戦闘に参加していませんでした。
今回のように、火炎放射で敵を攻撃してこその釣瓶火だと思っていますから、今後もどんどん戦闘に助っ人として登場して欲しいものです。
あと、化火、姥が火、天火、水母の火玉とチームを組んでの活躍も見たいです。


さて、今回登場の妖怪は槌の子です。妖怪と言うよりUMAと言った方が良いかもしれません。
ツチノコは解説するまでもない程有名なUMAで、日本のUMAの代表ともいえる存在です。
'70年代から'80年代にかけて一大ツチノコブームが巻き起こり、作中のように懸賞金がかけられて、日本全国でツチノコ捜索する人々が数多く居たようです。
懸賞金の方も最初は三十万円程度だったのが徐々に吊り上り、最終的には億単位の懸賞金を出すところまで現れていました。そういった過去のブームを知っていると、作中の懸賞金額は大したことのないように感じてしまいます。
目撃例、捕獲例も枚挙に暇がなく、連日のようにテレビ番組や週刊誌に記事が載っていました。もっとも、その全てが見間違いや勘違い、嘘情報であり、本当にツチノコを捕獲したものや姿を映したものはありませんでしたが。
今でも町おこしにツチノコ探しをしている地方自治体があるようなので、もし本当に捕獲したら、臆とまでは行かないものの、相当額の賞金が貰える模様です。
ツチノコというとUMAといった側面が強いため、最近になって現れた妖怪といった感じがしますが、その起源は意外と古く『古事記』や『日本書紀』にまで遡る事が出来ます。
ツチノコという名称は京都をはじめとする西日本のもので、地域ごとに別の名称がありギギ蛇、バチ蛇、筒蝮、カメノコ、苞っ子、苞蛇、ドテンコ、五八寸、槌ん子、ゴンジャ、コロ、コロ蛇、タンコロ、コロリ、槌転び、俵蛇、タテクリカエシ、ツチンボなど全国で様々な名前がつけられています。
共通した特徴は、山野に住み、通行人の前に転がってくる、毒を持っている、寸詰まりで槌の様な形をしているといった所です。作中の槌の子とは大分違います。
作中で目玉親父が言っているように、巷間で流布しているツチノコと、今回登場した槌の子は別存在だと考えるべきですね。ほぼアニメオリジナルの妖怪と言っても良いでしょう。
ストーリや特徴はアニメオリジナルでありますが、デザインは水木先生によるものです。『妖鬼化』に収録されている「槌蛇」を持ってきています。
名称の由来である最大の特徴「槌の様な寸詰まり」が微塵も感じられないデザインですが、地方によってはこの様な姿として語られているのでしょうか?