『ゲゲゲの鬼太郎』5−81   

ゲゲゲの鬼太郎』第八十一話「決戦!妖怪ハンター対針女」の感想です。
今回は終始戦闘のみの話になっていました。その為、緊迫感のある非常に見応えのあるものになっていました。
ゲストキャラクタの源五郎と妖怪針女の決戦は、両者の執念を上手く描いていたと思います。兎に角、ゲストの源さんが格好良かったです。
最初に源五郎が案山子を使った罠を仕掛けたのを、最期は針女が逆に利用したり、針女が光源を増やすために自らの肉体に火を付けたりといった展開は、いつもの単純な力比べの戦闘には無い魅力がありました。
一話丸まる戦闘で消化しただけのことはあったと思います。反面、ストーリが全く無く、何故針女が人間と敵対しているのかといった肝心のところがさっぱり分かりませんでした。作中のキャラクタ達の台詞から推察すると、多分、棲家の山をあらされた針女が怒って人間を襲ったのだとは思うのですが、真相は謎のままです。
私はこの手の展開は大好物なだけに大歓迎なのですが、『鬼太郎』にこの展開を望む者がどれだけいるのか疑問があります。まるでジャンプのバトル漫画を見ているような気がしました。


今回登場の妖怪針女はアニメは初登場ですが、原作『新編 ゲゲゲの鬼太郎』において登場しています。
漫画においては、釣堀で自らの髪を使って獲った魚を売る魚屋を経営しながら、攫った人間を妖怪に進化させるといった役所の妖怪でした。
釣堀で取れる魚なんてたいしたものがいるとも思えませんので、大した売り上げにはならないと思いますが、何故か利益があったようです。そもそも何故釣堀の魚を売ろうと考えたのか良く分かりません。髪の毛を使って自由に魚が取れるなら、海でも行った方が良いと思うのですが?
魚屋の経営方針は今ひとつですが、この原作の針女は戦闘能力は結構高めでした。今回のアニメ同様に鈎針の付いた髪の毛を自在に操る事が出来き、その針を他人に刺すと相手をコントロールする能力もありました。ほかに、手を自由に伸縮する事ができ、鬼太郎を一度は倒しています。今思うと、針女に限らず『新編 ゲゲゲの鬼太郎』の敵は、強敵ぞろいでした。
水木先生の『妖鬼化』の解説によると、四国宇和島地方で濡れ女子または笑い女子ともいうとあります。ざんばら髪の先に鈎針のような鈎がついていて、これで男を引っ掛けて連れて行ってしまい、この鈎を引っ掛けられると、いかなる大男も身動きできなくなってしまうといわれているそうです。
しかし、この針女は水木先生の作品以外では見た事がありません。手持ちの妖怪事典等の本には一切の記述がありませんでした。
村上健司氏は、水木が濡女子の特徴を強調した上で「針女」と命名したものと推測しているので、もしかすると水木先生のオリジナル妖怪かもしれません。


さて、今週もエンディングで来月二十日公開の劇場版予告がありました。
そこに妖怪四十七士集結と書いてあるのですが、まだ40人ほど決まっていません。
二ヶ月足らずの間に、残りの四十人をどうやって集めるつもりなのか、そもそも本当に集まるのかとても不安です。
先週も、今週も新しい四十七士は出ていませんし、ただでさえ劇場公開のタイムリミットまであと僅かだというのに、この後どうするつもりなのでしょうか?


そんなことを考えながら公式サイトを見たら、いつの間にか四十七士が全員発表されていました。
アマビエとアカマタは予想通りの四十七士入りです。他には、敵として倒している雷獣や磯女がいます。雷獣はどういった経緯で仲間になるのか想像がつきません。
本編にチラッと登場した座敷童子とすねこすりも当確です。すねこすりなどは、チーに妖怪反物にされる一瞬しか出演せず、鬼太郎と会ってもいないのに四十七士入りです。
その他、本編に登場していない妖怪たちが沢山出ています。
これ、もしかして本編にて覚醒シーンもなく、映画の背景としてしか登場しないモブ扱いになりそうな予感がプンプンと臭ってきます。
過去に登場したアカマタや雷獣はまだいいとして、その他の十把一絡げで紹介された妖怪たちは、恐らくちゃんと個々のキャラが立つことはないでしょう。