『ゲゲゲの鬼太郎』5−84   

ゲゲゲの鬼太郎』第八十四話「野寺坊!夜の闇に響く鐘」の感想です。
今回は吃驚しました。何が吃驚したかと言えば、オープニング曲が9:12から始まった事です。あまりにも待たされたので、今日はオープニングが無いのかと思っていました。
五期は今までもオープニングが始まるまで時間が掛かる事が多々ありましたが、それでも9:10までには「ゲゲゲの歌」が聞こえていました。
しかし、今回はタイトルコールがあり、本編前半が流れた後に「ゲゲゲの歌」が始まりました。本編半分消化した後では「オープニング」曲ではなく、「センター」曲と呼ぶべきなのではないかと思います。
幾らなんでも、時間配分がおかしすぎます。


さて、オープニング曲のかかるタイミングは変でしたが、本編はいたって普通でした。
今回登場の妖怪は野寺坊。
野寺坊のメインの話は、原作・過去のアニメ作品にはありません。一応、原作・アニメともに怪気象ブリガドーンのエピソードに大臣として登場していますので、初登場ではありません。ただし、野寺坊大臣は、ねずみ男に紹介されただけで、特に何らかの役割を持っているわけではありませんでしたので、記憶に残っている方はあまりいないかもしれません。
そんな訳で、今回が野寺坊のメジャーデビューになりますね。
出典は鳥山石燕の『画図百鬼夜行』です。それ以外では見た事がありませんので、鳥山石燕の創作妖怪なのかもしれません。
画図百鬼夜行』には、野寺坊の特徴が一切書き記されていませんので、どんな妖怪か不明。
寺に現れる僧形の妖怪だとしか分かりません。


今日の話は、土地開発に住処を奪われた森の動物と、廃寺に棲む妖怪野寺坊が人間に復讐する話と、『鬼太郎』のスタンダードなスタイルでした。
原作には無いオリジナルエピソードながら、実に『鬼太郎』らしい話だったと思います。蛙、兎、蛇といった動物が喋ったり、矢鱈と「バカ」を連呼したり、蛇踊りなる妖しい踊りを踊ったりと、随所に水木テイストが溢れていたのが良かったのではないかと思います。
ハーメルンの笛吹き男』のように音波を使って子供を攫ったり、隠里に子供を集めたりといった展開も、過去の『鬼太郎』で見た事がありますしね。
また、五期の「オベベ沼の妖怪かわうそ!」の時もそうでしたが、鬼太郎とねずみ男の二人だけで旅に出る展開はとても好きです。
五期はレギュラーキャラが多く、その多くが今まで埋もれていた妖怪だったため、色々な妖怪が賑やかに活躍して面白いと思っています。
しかし、多くのキャラクタを活躍させると、必然的にねずみ男の出番が減ってしまい、鬼太郎がねずみ男には何故か甘い態度をとるのかが浮いて見えてしまいます。
だからこそ初期の『鬼太郎』にあったようなねずみ男と鬼太郎の独特の距離感を現す話を偶に挿入すると、その二人の関係性が現せるのではないかと思います。
特に、「ここが」と決め手になるような優れたポイントはありませんでしたが、全体的なバランスが良く、昔ながらの『鬼太郎』の雰囲気を現在の技術・手法でリメイクした良作といったところでしょうか。


個人的には、今回一番良かったのは鬼太郎だと思います。
昆虫採集に夢中になったり、女の子とのデートや恋愛映画を煩わしく感じているのが、外見相応といった感じで、とても子供らしく可愛かったです。
自転車に乗れないときも感じましたが、完璧なヒーロに見える時が多い鬼太郎だけに、こういった「普通」の男の子らしさを偶に見るとほほえましくなります。