『ゲゲゲの鬼太郎』5−88   

ゲゲゲの鬼太郎』第八十八話「妖怪決死!!地獄横断クイズ」の感想ですが、正直感想らしいものなどありません。
昨日とても素晴らしい劇場版を見たからでしょうか、今回は激しくどうでもいい内容だと感じてしまいました。
面白いと思えるところは皆無。何でこんなの放送したんだろうと疑問がわくばかりです。
先週のゴーレムのように、重い話ばかりでは息が詰まってしまうので、緩急をつけるといった意味で、息抜きのギャグ回を入れるというのは必要な事だと思います。
しかし、息抜きをするのは視聴者だけで、製作者が息を抜いて、適当な話を作ってはいけません。どんな馬鹿馬鹿しいギャグばかりであったり、脱力する阿呆なストーリであったとしても、全力で馬鹿をやって、視聴者が馬鹿だと笑いながら見れる話にしなくてはなりません。
劇場版に力を入れすぎたしわ寄せが来たのか、中身がスカスカの話になっています。
正直、こんな話をやるくらいなら、宣伝のために映画のダイジェストを放送した方がましだった様に思います。


あえて見所をピックアップすると、地獄の十三王が本編においてはじめて名前を紹介されたところでしょうか?
それについても、webの公式サイトや雑誌などで既に紹介済みですから、今更といった感がぬぐえません。
後は、妖怪が沢山登場するのは見ていて楽しいものです。台詞こそなかったものの、久々に登場した白山坊や、四十七士入りが確定している白坊主、三期で活躍した赤頭など、お馴染みの妖怪たちを捜すのは面白いものです。
その他は、どうでもいいことばかりだったので特に覚えていません。


さて、今週メインを張った妖怪をあえて上げるとすれば、鬼太郎抹殺すべく暗躍した手の目と天邪鬼でしょう。
どちらも恒例の妖怪紹介の一枚絵がなく、鬼太郎との直接戦闘場面も無く、敵として機能したとは言いがたいですが、一応紹介します。
手の目は原作とアニメ一期、三期に登場する妖怪で、掌の目から怪光線を発射して幻覚を見せたり、他人を操る能力を持っていました。
鬼太郎も手の目に操られ、大分苦戦を強いられていたのが印象的です。
出典は鳥山石燕の『画図百鬼夜行』に描かれた同名の妖怪。デザインも『鬼太郎』に登場するのと全く同じです。
石燕の書には解説がないのでどういった妖怪かは正確にはわかりません。
『諸国百物語』に、京都七条川原の墓所に、顔に目がなく、掌に目がついた老人が登場する話があり、石燕はこれをモデルにして妖怪手の目を作ったのだといわれています。
また、類似の妖怪に手目坊主などといったものもあります。


天邪鬼は原作及び、アニメの一期から四期全てに登場する皆勤賞妖怪です。一期、二期双方に登場する悪役は非常に珍しですね。
過去作品では、意地悪老人とコンビを組んで、破壊の限りをつくす極悪妖怪として描かれています。
名前の通りの天邪鬼な性格で、レストランに入ってメニューにない烏の燻製やクサヤを注文して、それがないと分かると店内で暴れるといった理不尽な行為を繰り返したのが印象に残っています。
性格が凶悪なだけでなく、鬼太郎を凌駕する怪力の持ち主の上、相手の心を読む悟りの能力まで持つ強敵で、どのシリーズにおいても鬼太郎を苦しめてきました。
燻製マニアである事も有名でしょう。鬼太郎を燻製にして食べようとしていました。
強大な力とインパクト抜群の性格づけがされていた良キャラですので、今回の話に使われるのは正直勿体無さ過ぎます。あれだけ分かりやすい悪役なのですから、主演悪役として再登場して、過去作品同様に暴れまくってもらいたいです。
伝承は非常に古くからあり、仏教や日本神話に登場する悪鬼がルーツだと謂われています。
仏教では人間の煩悩を表す象徴として、四天王などに調伏される役割を持たされています。中国の水鬼である「海若」(かいじゃく)が「あまのじゃく」と訓読みできるので、日本の天邪鬼と習合された模様です。
日本神話においては、天稚彦や天探女がモデルとされています。但し、天探女がどうして天邪鬼と変遷していったかの過程は明らかにされてはいません。
人の揚げ足を取るといった性格は、『先代旧事本紀』にある天逆毎や天魔雄神がモデルになっているらしいです。
また、神話だけでなく民間伝承にも多数登場しており、『鬼太郎』の作中で描かれた人の意に逆らう行動を取ったり、心中を悟る能力がある他、口真似や物真似を得意とする場合もあります。
北は秋田県岩手県などの東北地方から、西は兵庫県岡山県などに伝承があり、全国区の妖怪の様です。
今でも、一般的に人の揚げ足を取る行為を天邪鬼と現すことから分かるように、とてもポピュラリティのある妖怪です。