本日観た映画


映画『K−20 怪人二十面相・伝』を見ました。
内容を知ると面白みがなくなると思い事前情報を何も見ないで行ったので、てっきり江戸川乱歩の『怪人二十面相』を映画化したものとばかり思っていたのですが、乱歩作品からは遥かかなたに掛け離れたものになっていました。喩えるなら、『西遊記』と『ドラゴンボール』ほど違っています。
ドラゴンボール』は、『西遊記』を下敷きにして描かれた作品ですが、決して『西遊記』のコミカライズではありません。あれを見て、『西遊記』と違うと怒る方は多分居ないと思われます。
それは本作品も同様です。乱歩の生み出した魅力あるキャラクターを全く別の作品の中に登場させた、完全なオリジナルでした。


乱歩好きとして、二十面相といった単語に魅かれて見に行っただけで、正直それほど面白い作品だとは期待していませんでした。ところが、良い意味で期待を裏切られてしまいました。
二十面相と明智小五郎の知恵比べが描かれるミステリかと思っていましたが、蓋を開けてみて吃驚。ミステリ的な要素も確かにあるのですが、予想外にハリウッド張りの一大アクション巨編に仕上がっていました。
現在の日本とは異なる、華族が支配するパラレルワールドの帝都を舞台に、金城武演じる遠藤平吉が二十面相相手と中村トオル演じる名探偵明智小五郎に戦いを挑みます。
この金城武が格好いい。日本映画なのに、ハリウッドに勝るとも劣らない迫力のあるアクションシーンが次々と展開されます。
特に、秘密兵器のワイヤーフックを使ってビルを登ったり、建造物の間を飛び回るのが素晴らしかったです。まるで、ハリウッドのアメコミを原作としたヒーロー物『バットマン』シリーズや『スパイダーマン』シリーズの様。あの手のアクション映画が好きな方なら楽しめるのではないかと思います。
また、設定も素敵です。どういった原理で動くのかさっぱり分からない巨大な無線送電装置や電磁波撮影機など、外連味たっぷりと詰まった妖しい物が沢山出てきます。高度経済成長期に流行った、空想科学特撮の後継者といったところでしょうか。
本家乱歩と似ても似つかぬ話なのに、それでいて乱歩作品のテイストが残っているのが素敵です。私は乱歩の魅力は馬鹿馬鹿しいことを本気でやっている点だと思いますが、この作品もその魅力をしっかり受け継いでいると感じました。
アクションが作品の肝になっているので、謎解き要素は薄味です。二十面相の正体も、本人が明かす前に分かってしまいました。
とても面白い作品だったので、是非続編を希望します。次回作は『K−40 怪人四十面相・伝』ですね。