『ゲゲゲの鬼太郎』5−94   

ゲゲゲの鬼太郎』第九十四話「沖縄の守り神シーサーの正体!」の感想になります。
今回は第二十五話「妖怪大運動会」以来、本当に久し振りにシーサーが登場しまた。しかし、今回も運動会の時と同様に、鬼太郎と敵対する立場になってしまっていたのが残念でなりません。
一方、今回メインでの出演となるもうひとりの沖縄妖怪のアカマタは非常に扱いが良かったですね。いままでは南方妖怪の一員くらいにしか説明がありませんでしたが、今期ではとても格好良い立ち回りを毎回見せてくれます。
そして、今回初めて正体が蛇である事が明言されていました。原作や過去のアニメではなかった描写でしたので、これはとても面白かったです。しかし、蛇体を晒したアカマタは正直言って醜悪でした。まさか衣を取っただけであんなに気持ち悪くなるとは思いませんでした。


さて、今回の敵役はシーサーです。
誰もが御存知のように、沖縄の屋根の上に鎮座ましまし、守り神として人々を見守っている妖怪(妖怪ではなく神さまなのか?)です。名前の由来は、獅子を琉球語読みしたものです。
沖縄に獅子は生息していませんので、大陸から伝わった伝承が元となって生まれた妖怪なのでしょう。
過去の作品では原作の『新編 ゲゲゲの鬼太郎』で登場して鬼太郎ファミリーの一員に加わり、レギュラーキャラとして大活躍しました。また、『新編 ゲゲゲの鬼太郎』連載時に放送されていたアニメ三期でも同様に、73話から鬼太郎の仲間に加わり、最終シリーズの地獄編での遠征にも同行して大活躍しています。
ポテンシャルは高いようですが、まだまだ子供のため何処か詰めが甘いところがあったり、抜けているところを披露してしまいますが、それも愛嬌のうちでしょう。未熟なものとはいえ、体をドリルのように回転させ、地面を掘ったり、敵の胴体を貫いたりと戦闘場面ではとても役に立っています。また、知識も中々豊富なようで、アメリカの妖怪に関しては目玉親父よりも詳しい所を披露したりする場面もありました。
『鬼太郎』に出てくる沖縄妖怪の中では、一番作品に貢献している妖怪で有るのは間違いないでしょう。
しかし、元気が良かったのは'80年代だけで、その後はゲストキャラとして偶に現れるだけの妖怪に格下げとなってしまいました。漫画では「国盗物語」で両親と共にゲスト出演した他、アニメ四期では63話でホテルのベルボーイとして一話限りの登場と、あまり良い待遇とはいえませんでした。
そして、アニメ五期においては鬼太郎の仲間として登場したことすらありません。五期の前回登場の時は、運動会の敵味方だったとしても、鬼太郎にあまり敬意を払わない態度が目立ちましたので、三期の留学していたシーサーとは別の個体なのでしょう。
個人的には、沖縄はシーサーが四十七士になって、三期のようなシーサーが鬼太郎の元に留学する展開になって欲しいところでした。しかし、今期の今までの展開を見るなら、アカマタが沖縄代表になるのは順当だと思いますから、そこは仕方がないと思ってあきらめます。
三期のシーサーが好きなので、今期のシーサーの扱いは正直納得がいかないものがあります。


そして、今回の黒幕は吸血樹でした。
どかかに伝承にある妖怪とは思えないので、水木先生のオリジナルキャラクタかと思います。
原作の「血戦小笠原」でドラキュラと共に登場しています。今回は何故か小笠原から沖縄へ転居しています。
過去のアニメ作品でも小笠原が本拠地の吸血妖怪になっています。一・三期ではドラキュラらと共に血を求め、四期では南方妖怪アササボンサン、ペナンガラン、ランスブィルと共に行動をしています。いずれも血液を集めて自ら繁栄することを目的としています。
シーサーを操るというのは今までに無かった行動パターンでしたが、それ以外の吸血、枝を伸ばしての攻撃、子供を生み出すといった能力は原作準拠になっています。
吸血が登場すると、いつもは吸血妖怪や南方妖怪といった手下を大勢備えて、日本と西洋妖怪の総力戦になるとてもスケールの大きな話になるのですが、今回は何だかコンパクトな話になってしまいました。
今回はアカマタの話だった為仕方の無いことなのでしょうが、あまり目立った活躍が無かったのが少々残念なところです。
ところで、今回吸血樹がねこ娘と一反木綿を根で捕らえていましたが、その時二人はしおしおに枯れていました。血液を吸い取ったためなのでしょうが、ねこ娘は分かるのですが、一反木綿に血液は無いのではないかと思います。何しろ体が木綿で出来ているのですから、血管などあろう筈がありません。
それとも、あれは血液ではなく精気を吸い取っていたのでしょうか?しかしそれでは、吸血樹を倒した時に飛散した血液の説明が付かなくなってしまいます。
何だったのでしょうか?


今回の見所はアカマタに尽きます。
アカマタは嫌われ者と自ら言っていましたが、そんなことは無い様に思います。同郷の親友シーサーや、南方妖怪の四人ととても深い親交を結んでいますし、鬼太郎達だってアカマタのことを信頼している模様です。
毒蛇であることを恥じていましたが、シーサーが言っているように、外見が違うだけでシーサーと同じく沖縄を愛する良い妖怪だからこそ、皆からの信頼を得られているのでしょう。
今までの活躍を見ると、それは納得が行きます。特に、南方妖怪の唯一の良心として頑張っていましたし、今回鬼太郎と共に戦った姿を見れば、そのことは分かります。
過去の作品においては、一話限りの敵としてしか登場していませんでしたから、この出世具合は目を見張るものがあります。
今回、最後に南方妖怪の面々との離別が描かれていましたが、今後アカマタと南方妖怪との再開が有ると期待しています。今回は南方妖怪の阿呆さがあまり目立たなかったので、次回はまたとても馬鹿馬鹿しいものになることを期待します。