『ゲゲゲの鬼太郎』5−30   

ゲゲゲの鬼太郎』第30話「鬼太郎抹殺作戦」の感想です。

今回は宿敵ぬらりひょんとの対決となります。
ぬらりひょんが鬼太郎を倒す為に復活させた妖怪は「片車輪」。
回転するほどに高熱の炎を纏う性質を持っているのですが、以前登場した熱エネルギーを吸収する毎に炎が強くなる「火取り魔」と特性が良く似ていると感じたのは私だけでしょうか?
以前同じような性質を持った妖怪をぶつけて失敗しているにも関わらず、同じような妖怪を呼び出す辺り、どうやらぬらりひょんは余程炎が好きなようです。
まあ、確かに直接的な攻撃力を持っているという意味においては、炎を司る妖怪が扱いやすいというのも分かるのですが、もう一寸作戦を練ってから事に当たった方が良いと思いました。今日のぬらりひょんは、五期初登場の時に、これでもかというくらいに周到に罠を張り巡らせた妖怪とは同一存在とは思えません。


しかし、そんな無策に等しいぬらりひょんに苦戦する鬼太郎。
そこへ駆けつけたのは、「雪女郎」「大天狗」「河童」たち、以前鬼太郎と敵対した事もある妖怪たちでした。この辺りの展開はベタですが、だからこそ燃える王道展開とも言えるでしょう。賛否はあるのでしょうが、個人的には大好きです。
ところで、鬼太郎の危機を感知した妖怪の中に「アカマタ」がいましたが、決戦場面では彼の登場が描かれていませんでした。一体あれは何の意味があったのでしょうか?運動会の時のアカマタの紳士的な態度から、てっきり今期では仲間となってくれるのかと期待していたのですが、結局今回は参戦しませんでした。南方からでは遠すぎて、決戦に間に合わなかったのでしょうか?


今回は戦闘物の王道的な展開で、非常に良かったと思います。
ただ問題なのは、妖怪「片車輪」の名称です。

さて、前回書いたように、「片車輪」という妖怪など居ないのですが、何処から「片輪車」が「片車輪」になったのか気になったので、一寸調べて見ました。

原作漫画については、全ての作品を持っておらず、読んでいませんので正確なところは分かりませんが、私の知る限りにおいては、登場している作品はありませんでした。
また、ネット上で鬼太郎の登場妖怪を纏めている方がいらっしゃったので、参考にさせて頂きましたが、そこでも「片輪車」「片車輪」共にその名を見つけることが出来ませんでした。
恐らく、原作漫画においては、「片輪車」が登場するエピソードは無いものと考えて良いでしょう。


参考
ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大事典
http://www1.ocn.ne.jp/~mispla/kitaro-list/index.html


さて、アニメに関してはどうでしょうか?
一期から四期までに登場した妖怪を完全網羅した『アニメ版ゲゲゲの鬼太郎完全読本』を調べてみたところ、矢張り此方も「片車輪」「片輪車」共に、その名称は載っていませんでした。


すると、水木先生の画集辺りはどうかと思い、水木しげるの妖怪画の集大成『妖鬼化』を見たところ、第三巻の日本編<<近畿・中国>>に「京都の片車輪」との記述を見つけました。
因みに、webの「妖鬼化」においても、「片車輪」という名称で紹介されています。


片車輪
http://sg-tv.jp/items/m_item.phtml?item_id=1760&item_detail_id=1557&PHPSESSID=28e18dd8e0ad43b26ed5b0fe32375840


どうやら、この「片車輪」と言う名称は、アニメオリジナルのものでは無い様です。
てっきり、アニメスタッフが自粛して妖怪の名前を変更したのかと思っていましたが、大本を辿ると水木先生が原因の模様です。
水木先生は過去においても、「邪魅」と「魍魎」を取り違えていますので、水木先生のミスなのかも知れません。
かと思えば一方では、「のびあがり」を地球外生命体にしか見えないデザインにしたり、「見上げ入道」の姿に「青坊主」を採用していたりするのは故意に行ったことなのでしょうから、もしかすると何らかの意図があるとも考えられます。

しかし、たとえどちらであったにせよ、元の伝承と違う名称で登場するのは、妖怪ファンとしては良い気持ちはしませんので、今後はこういった名前を変えてしまうような事はしないで欲しいものです。